不安に

わたしたちは、いつなんどき病気にかからないとの保証はありません。そのような状況に陥ったとき、様々なリスクが襲い掛かってきます。

いつでもどのようなリスクにでも立ち向かえる万全の方策を心がけを施したいものです。

わたくしの本業は、葬儀アドバイザーでございます。

常日頃お亡くなりになった方やご遺族様に接するとき、葬儀よりもそれ以降の生活面でのことが危惧されます。

多くの故人様が念頭に懐いておられるのが、葬儀費用のことでありますが、それ以上に費用がかさむのが治療費でございます。

葬儀費用に積み立てた預貯金、保険なども解約して治療費に支払らわざるを得ない現状を目の当たりにして参りました。

病気の治療費!

手術代、薬代といった治療費のほか、入院中の食事、個室など有料の部屋を希望した場合にかかる差額ベッド代など、治療に伴う間接的な費用も必要になります。

また外来では再診料や投薬注射料などを、通院のたびに支払うことになります。

これらの費用は、健康保険や国民健康保険など公的医療保険で一部まかなえるものと、患者さんが全額負担しなければならないものに分けられます。

公的医療保険が適用されるのは、手術代、検査代、薬代といった直接的な治療費です。

費用全体のうち患者さんが支払う割合は、70歳未満の成人ならば3割などと自己負担割合が決められ、残りは公的医療保険から支払われます。

わが国では、最新の治療や、新しい薬・医療機器を使った治療などは、公的医療保険の給付対象になっていないものもあります。

また保険が適用されない(保険適用外)診療を受けた場合には、併せて受けた保険適用の治療も含めて、全額自己負担となるのが原則です。

しかし、厚生労働大臣が「先進医療」として認めた治療については、保険適用外の診療と、保険診療の併用が認められ、保険適用の治療部分については公的医療保険の給付の対象になります。

差額ベッド代なども同じように、保険適用外になります。

このような公的医療保険の適用されない治療やサービスは、患者さんや家族の了解を得てから実施されるのが一般的です。

そのため、知らないうちに保険適用外の診療やサービスが行われ、費用が請求されるということはありません。

なお、これらの医療費のほかに、患者さん本人や家族の通院費、入院時の日用品代、お見舞いのお返し代などの費用も見積もっておいた方が安心です。

差額ベッド代

費用

定員が4人以下で、1人当たりの面積が一定の広さを有し、プライバシーを確保する設備を備えた病室のことです。

公的医療保険が適用されないため、入院した際に支払う入院料とは別に、患者さんが室料(差額ベッド代)を自己負担します。

室料は医療機関によって異なります。差額ベッドの病室への入院には、患者さんの同意が必要で、同意書へのサインを求められます。

医療機関側の都合により差額ベッドの病室にやむを得ず入院する場合は、差額ベッド代は請求されません。

公的医療保険について

我が国の制度として、全てが申請主義になっていますので、国にどんな制度があっても申請をしなければ、適応されないことがあります。また時効も存在しますので、制度を知ることは本当に大切なことなのです。

公的医療保険には、会社員が加入する健康保険のほか、自営業の方や、会社を退職した方が入る国民健康保険など、いくつかの種類があります。

その種類によって、手続きの窓口や、受けられるサービス内容が異なることもあるため、一度確認しておきましょう。

治療にかかる費用はどのくらい?

今後の治療にかかる費用について心配になるのは無理のないことです。

個人的な問題としてひとりで抱え込まないで、機会を見つけて担当医や看護師、がん相談支援センターなどに相談してみましょう。

治療にかかる費用は、

がんの種類、病状、治療内容などによって変わります。また、2年ごとに医療費の価格設定(診療報酬)が見直されるため、年によっても違いが出てきます。

最近は、入院について、診断された病名・症状と治療内容、入院日数などの組み合わせに応じて、医療費をある程度定額化した診断群分類包括評価(DPC)を導入する医療機関がふえてきました。

そうした医療機関では、入院前など比較的早い段階で、医療費の大まかな目安を把握できるようになりました。

治療が長期間にわたると、費用はかさみますが、その負担を軽くする制度もあります。

公的医療保険が適用される医療費については、患者さんの自己負担割合は一定(1~3割など)に設定されていて、1ヵ月に支払う上限額も決められています(高額療養費制度)。

そのため、治療費の自己負担分の総額が高くなっても、限度額を超えた費用に対して払い戻しが受けられます。

このほかにも、確定申告を行うことによって、税金の医療費控除などで経済的負担が軽減できたり、高額療養費の支給を申請してから給付されるまでの期間、支給見込額の一部相当額を無利子で借りられる制度もあるので、知っておくと便利です。

治療費や助成制度については、がん相談支援センターや、病院の相談窓口で相談できます。医療費について心配のある方は、早めにそのような窓口を利用してみましょう。

診断群分類包括評価(DPC)

患者さんの病名や症状と治療内容や入院日数などの組み合わせに応じて総医療費があらかじめ設定されている新しい医療費の評価方式です(一部例外もあります)。

従来は、治療、検査、薬などにかかった費用を全て合計して費用を決める出来高支払い方式が一般的でしたが、DPCでは1日当たりの点数が決められているため、投薬、注射、検査などは、その決められた点数に包括されています。

ある程度規模の大きな病院では、DPCを取り入れるところがふえています。

入院費の支払い

入院中の医療費は、退院日までに全額を支払うのが原則ですが、支払い方法や支払期限などについては、病院によってそれぞれ異なります。

入院が1ヵ月以上に及ぶ場合は、通常は1ヵ月ごとに請求書が発行されます。

請求書が出されてから1週間~10日以内程度での支払いが多いようです。

支払い方法は、現金が一般的ですが、大きな病院ではクレジットカードなどにより、分割払いができるところもあります。

入院が長引くときなどは、現金での分割払いなどを受け入れている病院もありますので、早めに会計窓口やがん相談支援センターに相談しておくとよいでしょう。

公的助成・支援の仕組みを活用するには

主な問い合わせ先を確認する。
・がん診療連携拠点病院などのがん相談支援センター
・各医療機関の相談窓口
・ソーシャルワーカー
・各自治体の相談窓口(インターネットで情報を得られることもあります)など

本人と家族の医療・介護その他療養生活での支払いの領収書などは、なくさないように保管しておく。

各制度の対象となる基準には、本人だけでなく家族(世帯)の所得や状況も関係するものもあるので、家庭全体の状況から活用できる制度はないか調べてみる。

新しく治療を始めるとき、退院したり療養場所を変えるとき、家族の状況が変わったりしたとき、転居のときなどの機会に、活用できる制度について見直してみる。

『患者必携 わたしの療養手帳』に、調べたり問い合わせたりした仕組みや窓口、手続きした助成や支援の記録を残しておく。

医療費の費用負担を軽くする制度

高額療養費制度

私たちは、公的医療保険が適用される医療について、その費用の1~3割を自己負担しています。

がんの治療では、医療費の自己負担分が高額になることがありますが、そのようなときに利用できるのが高額療養費制度です。

この制度は、1ヵ月間(1日から月末まで)の医療費の自己負担額が、一定の限度額を超えた場合に、超過部分の費用を公的医療保険で賄うというものです。

差額ベッド代や、入院中の食事代などは対象外ですが、保険が適用される医療費であれば、入院・通院・在宅医療 用語集アイコンを問わず対象になります。

つまり、保険適用の医療については、患者さんが負担する1ヵ月の医療費は、最高でも限度額までとなります。

高額療養費の計算の仕方

高額療養費の対象となる医療費は、次のように計算します。
対象となるのは、1日から月末までの1ヵ月間に支払った医療費(保険適用のものに限る)。
入院と外来の医療費は別に計算する。
なお、自己負担限度額は、年齢や収入、加入している医療保険の種類によって異なります。

また、計算方法なども、70歳未満の方と、70歳以上の方とでは違います。

70歳未満の方の場合

医療機関ごとに、また入院医療費と、外来(在宅医療を含む)医療費を別々に計算します。
そのうち、21,000円以上のものを合計します。

合計額が限度額を超えていた場合、超過分の費用について払い戻しが受けられます。

12ヵ月以内に、制度を4回以上利用した場合、4回目からは限度額が引き下げられます。

一定の条件を満たしていれば、同じ月にかかった家族(同じ世帯内)の医療費も合算できます。

70歳以上の方の場合

病院、診療所、訪問看護 用語集アイコン、調剤薬局 用語集アイコンなどを問わず、かかった医療費の合計額が対象になります。

入院した月の医療費については、一定の条件を満たしていれば、同じ月にかかった家族(同じ世帯内)の医療費も合算できます。

これらの仕組みは複雑なため、手続きをする前に、医療機関の相談窓口やがん相談支援センターのスタッフなどに相談しておくとよいでしょう。

手続きの方法

この制度では、原則として患者さんが医療機関で一度医療費の自己負担分全額を支払い、後日、保険者から、限度額を超えた部分の費用の払い戻しを受けるようになっていますが、平成19年4月より入院医療費について、また平成24年4月1日からは外来医療費についても、窓口での支払いを限度額までにとどめることができる仕組みが導入されました。

ひと月に支払う医療費の合計金額が限度額を超えそうな場合には、加入されている健康保険組合・全国健康保険協会・市区町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度)などに「限度額適用認定証」(70歳未満の課税世帯の方)、「限度額適用・標準負担額減額認定証」(非課税世帯の方)の交付を申請しておくとよいでしょう。

交付された「限度額適用認定証」をあらかじめ医療機関等の窓口に提示しておくことで、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができます。

「限度額適用認定証」を提示しない場合は従来通りの手続きとなり、高額療養費の支給申請を行う必要があります。

保険者によっては、通知がない場合もありますので、念のため保険者に確認されることをお勧めします。

高額療養費の支給申請の際には医療機関から受け取った領収書も提出する必要がありますので、大切に保管しておきましょう。70歳以上の方(住民税非課税の方を除く)は、「高齢受給者証」または「後期高齢者医療被保険者証」を提示することにより、窓口での支払いを限度額までにとどめることができます。

限度額適用認定証 交付申請の流れ 高額療養費 支給申請の流れ
加入する公的医療保険(保険者)の窓口に「限度額適用認定証・標準負担額減額認定証」の交付を申請

交付された「限度額適用認定証・標準負担額減額認定証」を医療機関などの窓口に提示する
限度額までの金額を窓口で支払う

加入する公的医療保険(保険者)の窓口に連絡し、申請書を送付してもらう

申請書に、医療機関からもらった領収書などを貼り付け、保険者に送る

3ヵ月ほど後に、加入する保険から払い戻しを受ける