葬儀費用でトラブル、誰がいくら払う?

身内や家族に不幸があったとき、『誰が葬儀費用を負担するのか?』で悩むことはないでしょうか?実際に財産分与や葬儀費用を巡っては、調停や裁判に発展するケースも少なくありません。

江戸時代の相続は、全資産が長男に相続され、次男以下に一切の相続がありませんでした。そのため、喪主を務める長男が、家に関わる費用を全額負担するのが当時の常識でした。

現代の葬儀費用の負担は誰がするのでしょうか?。核家族が主体となり、仕事の関係もあり子供たちは首都圏に居住場所を求めています。

その結果親の家を相続する傾向が減少しています。故に長男が執り行うとの認識に変化が生じたことは否めない事実でありましょう。

不平不満が出ない葬儀費用の負担方法、親族でトラブルにならないための和解方法などを考えていきます。

葬儀費用は喪主が全額負担?

葬儀費用は喪主が全額負担?

喪主(施主)を務める人が、葬儀費用を全額負担することが慣習、常識とされています。現在も江戸時代の風習が残っているのは日本の文化と言えますが、少々時代錯誤に思えます。

葬儀費用の負担者は誰か?という裁判が平成24年名古屋で提訴されました。名古屋高裁の判決は次のようになっています。

故人の相続人や関係者の間で葬儀費用の負担について合意がない場合、追悼儀式に要する費用について、葬式を主宰した者(喪主)が負担するのが相当である。

【引用:名古屋高等裁判所(ネ)第968号

葬儀アドバイザー 佐々木葬儀アドバイザー 佐々木

冒頭で説明したとおり、江戸時代は長男に全財産が相続されたため、慣習の名残りから、長男=喪主=全額負担という流れになっています。

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喪主と施主の違いについて簡単に解説しましょう

  • 喪主は葬儀を出した代表者
  • 施主は費用を負担する人

例えば父親が亡くなり、老いた母が喪主を務め、施主を長男が務め費用を負担した時などです。喪主と施主は同一なことが大半です。

喪主が葬儀費用を全額負担するという法律はない

喪主が費用を善我う負担するという法律はない

遺産分配が明確に民法に定義されている反面、葬儀費用の負担については一切明記がありません。慣習により、喪主が全額負担することが当たり前とされているんです。

家督を継いだ長男が葬儀費用を当然支払うもの』との文化なのです。

ただし慣例的には、配偶者・男系の子供が順当なところでしょう。遺産相続を有する方々の順位順に支払い義務を負うことになります。遺産が無くともその順位は変わりません。

生前に取り決めをしておく必要性

大切な家族が揉めないように生前に終活等を利用する

終活の文字に代表されるように、故人の意思は生前にうかがっておきたいものです。故人に遺産があり、事前に遺産から葬儀費用を工面するように取り決めるか、遺言があれば問題は回避されるものです。

葬儀に付いて述べるなら、会葬者の多い葬儀であれば、香典で葬儀費用をまかなえる場合もあります。最近の葬儀事情ではまれなケースといえます。

また、最近は終活をはじめる人も多くなり、残された大切な家族のためにエンディングノートを書く人も多くなりました。『葬儀費用は私の預金口座から全て支払いをするように』と決めておけば、葬儀費用で親族がトラブルになることはありませんよね。

但し死亡されますと故人の口座は一時閉鎖されますので、信託銀行の口座が大切です。また遺族の了承のもと必要経費分を事前にどなたかの口座に移すか引き出しておきましょう。

トラブル回避をするためにも一人で勝手に良かれと思い行動することは禁物です。

エンディングノートを遺言のように保管する人も多く、本人が亡くなるまで親族が内容を知らないケースも多いようです。故人も含め事前に遺族に対しては公表することも大切な作業になります。

かつては、本人が生きている間に葬儀の話をすることはタブー視されてきましたが、時代と共に常識が変わりつつあるように感じます。身の回りのことから、少しずつ家族で話し合いができる環境があれば良いでしょう。

葬儀の捉え方として、葬儀は村・地域で / 会社(企業)・親族 / 個人(家庭)へと変化

葬儀の費用分担はどれくらい?

一般的な葬儀に関していくつかの事例を挙げていきましょう。

葬儀アドバイザー 佐々木葬儀アドバイザー 佐々木

お香典で葬儀費用がまかなえる時代ではなくなりました。葬儀を出せば、葬儀費用は発生します。問題は、この負担金を誰が支払うかと言う事ですよね?平均的にはお香典分を差引いて100万円くらいの出費になるケースが多いです。

一般的なイメージの葬儀を出せば葬儀費用は200万円前後かかります。火葬式のみなら20万円前後が相場です。全国の葬儀費用の相場についてはこちらの記事が参考になります。

 ケースごとに費用負担者を考えます

葬儀費用は相続に準じて負担するケースも多い

ケースごとに葬儀費用の負担者は?
  1. 家族に囲まれて亡くなられたとき
  2. 男の子が複数いる場合
  3. 子供が女の子だけのとき
  4. 配偶者とは死別し、子供もいない場合
  5. 両親・兄弟姉妹・子供もいない場合

①故人の配偶者・子供・両親・兄・弟の順になります。基本的には、ご家族が一丸となって葬儀に臨むと言う事です。

②長男・次男の順でしょうが、相続人が別にいれば、相続人が費用負担をするようになります。

③姉妹は婚姻した場合、戸籍が変わる為、家族から外れることも多いのですが、相続人に指定されていれば、支払い義務も生じてきます。

④兄弟がいれば兄弟の負担が生じます。

⑤叔父・叔母・伯父・伯母・甥・姪と相続順です。

一般的に遺産相続の範囲以内で考えることが常識的でしょう。また資産の有無により幾つかのパターンが生じてきますので、6つに分けて考えましょう。

1、故人が資産を残した場合

遺言書

  • 喪主が一時葬儀費用を立替え、相続財産が確定した段階で葬儀費用も精算します。故人に相続財産が有ったとしても、葬儀は死後の契約事項なので喪主が相続分で葬儀を執り行うと、相続権を持つ他の者から葬儀費用の金額でクレ-ムが起きる場合もあります。
  • 故人が生前、第三者等々と葬儀費用や規模などについて詳細な契約がなされ、契約に則り履行された場合は相続財産から支払う事が可能となります。死後の事について合意事項や遺言書がある時、故人の遺志をくみ取つて希望通りの葬送の儀を執り行えます。

2、故人に資産なし:生命保険等の加入のある時

生命保険加入あり

たいはんの方が葬儀費用の捻出方法として利用するのが生命保険です。生命保険の豆知識として。

契約者被保険者受取人税制
所得税
妻・子供相続税
子供贈与税

相続税の対象となる場合

契約者(保険料負担者)と被保険者が同一の場合、受取人が受取った死亡保険金は税法上相続または遺贈によって取得したものとみなされ課税されます。
ただし、死亡保険金受取人が被保険者の相続人のときは
500万円×法定相続人数
の金額が生命保険金控除として、非課税となります。

所得税の対象となる場合

契約者(保険料負担者)と保険金受取人が同一の場合、受取人が受取った保険金は一時所得として課税されます。
課税対象額=(保険金+配当金-実払込保険料-50万円)×1/2

  • 5年満期一時払養老保険は差益に対して20%の源泉分離課税が適用されます。
    差益=満期保険金+配当金-1時払保険料
  • 5年満期一時払養老保険以外でも源泉分離課税の対象となるケースがあります。

贈与税の対象となる場合

契約者(保険料負担者)、被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合、受取人が受取った保険金は贈与によって取得したものとみなされ課税されます。
課税対象額=受取り金額-110万円

  • 生命保険は必ず契約者・被保険人・満期受取人・死亡保険受取人等が明確に記載されています。保険の内容にもよりますが、大きく分けて3つで、定期型と養老型と終身型、ここで取り上げるのは、死亡した時に受け取れる保険です。
  • 受取人が喪主であれば、何の問題もなく葬儀費用として利用できます。ただし死亡保険金を葬儀費用に使用しなければならない規定がない為、受取人が違う場合、受取人との協議が必要です。

急な葬儀の出費に頼りになるのは生命保険です。事前のチェックをしておきましょう。

一流生命保険会社の商品を比較して、最適な保険を提案して頂けるはずです。

 

3、家はあるが、お金が無い場合

自宅だけはある

  • 相続問題でトラブルの多いケースです。(金持ち喧嘩せず)一時期話題になった言葉ですが、まさしくその通りで、肉親関係において感情のもつれが解決しにくい問題です。
  • 家は売却して均等に分ければよいのでしょうが、家族の誰かが居住している場合、売却もままならないケースもあります。とりあえず葬儀だけは済まそうとの考えが危険です、もめごとが生じる前に、きちっと関係者が集り、出来れば信頼できる第三者を交え話合いの場を持ちましょう。先入観を持って話し合いに臨まない事です。
  • 一般的なお住まいであれば、相続税はさほど気に留める金額にはなりません。また家を担保に借入を考えても、早急にできる話ではありません。今後も居住する人が資金調達をする事になりますね。

4、全く故人が資金を残さなかった場合

遺産なし

  • 遺族の責任として取り組まねばなりません。故人が生活保護を受けている場合で遺族に葬儀を行う余裕のない時には、生活福祉課から火葬までの資金約20万円が支給されます。
  • ただし遺族に葬儀を行う資金が十分にある場合には、その限りではありません。遺族としてどこまでの葬儀にしてあげるか、遺族であるあなたの判断が全てです。
  • 大きなトラブルにはなりにくいですが、誰が葬儀費用の負担をするか懐ぐわいが気になります。

5、借金を残して、亡くなった場合

借金だけ残ってる

遺産相続の放棄手続きを取ることが賢明です。相続放棄は、相続人が借金を知りえてから3ケ月以内です。家庭裁判所に直接相談しても、手続き方法は教えてもらえますので、遠慮しないで行きましょう。※遺産の相続放棄は家庭裁判所に限定承認をする必要があり、相続人全員の了承が必要になります。

6、行方不明で、警察からの連絡で身元が分かったとき

  • 火葬されている場合もあります、そのような場合葬儀の必要はありません。今後の法要だけ考えましょう。
  • 火葬前であれば警察と相談して、提携している葬儀社に依頼するか、個人の関係での葬儀屋さんに依頼します。検死が入ったか否かで料金は違います(東京都無料・他府県では医師の検死料が付加されます3~5万円)が、全体で20万円前後の料金になるでしょう。

家族のどなたか、もしくはご本人様が借入金でお悩みの事があれば、無料法律相談へご相談ください。

窓口によりあなた様との相性もございますので、三か所ご紹介させて頂きます。

葬儀費用の負担者は?

私の経験では、故人が多額の遺産を残すと遺産分与で、全く遺産がないときには葬儀費用を巡るトラブルが発生するように感じます。親族間で金銭トラブルが発生すると、問題が解決できても、気持ち的に和解できないケースも多いんです。金銭トラブルで親族が和解できないのはとても悲しいことです。そのため、親族間である程度、葬儀を行う場合の話し合いをしておく必要があります。また、本人が残される家族がトラブルにならないよう、取り決めをしておくことで不要なトラブルも避けられるでしょう。故人が遺産を残さなかった場合、家族葬にする、火葬式にするなどの方法も選択肢に入ってきます。家族間で平等に費用を負担することで、不平不満も出なくなります。

香典は、法的にも遺産に入らないので、香典返しをした後は葬儀費用に充てるほうが良いでしょう。

葬儀アドバイザー 佐々木葬儀アドバイザー 佐々木

喪主が自己判断で香典の使い道を独りで決めたりしますと、トラブルの原因になります

葬儀費用に全額充てるか、平等に分配することでトラブルを未然に防止しましょう。

 

お寄せいただく良くある質問にお答えいたします

債務整理をしたいのですが、どの方法を選べばいいかわかりません。
自分で調べて方法を選ぶのではなく、借金額や希望(家を残したい、会社に知られたくない等)をまとめたうえで法律の専門家に相談することをお勧めします。債務整理を得意とする専門家に相談することで、自分のケースに一番合った債務整理の方法を選ぶことが出来ます。
家族や親戚、会社などに債務整理をしたことが知られてしまいますか?
債務整理を行う過程で裁判所からの通知が家に届いたりしますし、自己破産の場合は家が競売にかけられることが多いので、家族や親戚に知られてしまうことがほとんどです。債務整理を決断した場合は、家族に前もって相談するようにしましょう。会社の場合は、給料を差し押さえられたりしない限り知られることはありません。
債務整理をするかどうか迷っていますが相談だけでもいいですか?
司法書士や弁護士に相談するのは、債務整理を行う時だけだと誤解されがちですが、司法書士や弁護士は債務整理を迷っている段階での相談のみであっても受け付けてくれます。債務整理は法律が絡み、自分一人では決められない複雑な問題ですので、債務整理に精通している司法書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。