ご遺族から寄せられる質問で『葬儀の流れはどのようになっていますか?』が非常に多いです。葬儀の喪主を務める機会は一生のうち1.2回が平均的ですし、葬儀の流れを知っている人は圧倒的に少ないんです。
今回は、時系列で葬儀の流れを危篤から四十九日法要まで解説していきます。また、宗教ごとに通夜式の行い方も違いますので事前に確認していきましょう。
事前に葬儀の流れを理解できれば、葬儀も安心して進められますよね。
葬儀一連の流れ
葬儀社は24時間・365日休みなく受付をしています。連絡するのに時間を選ぶ必要は全くありません。
どのような状況でも、直ちに連絡することが最善の方法です。
故人様の危篤から臨終そして葬儀・火葬と精進落としまでを前半部として解説させて頂きます。
精進落としから以降の四十九日迄の流れについては後半部として説明させて頂きます。
【危篤から四十九日法要までの流れの概要】
- 危篤(近親者への連絡)
- 臨終
- 搬送
- 安置(霊安室or自宅)
- 葬儀社との打合せ(葬儀日程が決まり次第確認連絡)
- (親戚・勤め先・友人・町会)
- 納棺(旅支度)
- 通夜(通夜振舞・返礼品)
- 葬儀・告別式・出棺(喪主挨拶)
- 火葬・荼毘(霊柩車)
- 精進落とし
- ご自宅後飾り(遺骨・白木位牌・遺影を安置)焼香を可能にする
- 初七日法要(※葬儀告別式終了後引続き執り行う事が多い)
- 四十九日法要(位牌・お墓の準備)
四十九日法要まで、この一連の流れで進みます。それでは、詳しい内容を確認していきましょう
危篤
危篤・この2文字に込められた、ご家族のご心痛は、はかり知れないものがございます。
また個人個人状況はまちまちで、年齢や入院期間にも係わりますが、病院で・養護老人ホームで・ご自宅でむかえる方など、家族の受け止め方も様々な反応が出るものでしょう。
基本的には、危篤の状況になったとき、家族全員に連絡をするのは勿論ですが、本人が最期に会いたい方にも状況をお知らせしてください。
遠方の方には余裕を持ったご連絡を心がけましょう。
わたし佐々木の弟子の矢野と申します。
ご本人様が最期をお迎えになるときは、無意識に近い状態になることが多いようですが、安らかに見守ってあげてください。
また病院など施設に負担を掛けない程度に、縁の深い人には側にいてあげさせたいものです!
臨終
病気や施設の場合、亡くなると関係者により、簡単なお体の清めがなされ、その後霊安室等に移動することになります。
病院であれば担当医により、死亡診断書が発行されます。
もし自宅であれば、罹り付けの医師に連絡して、死亡診断書を発行して頂きます。
病院にかかっていない場合には、最寄の警察署への連絡が必要となります。
冬の時期、入浴中とか夜間のトイレ等での極端な温度差による事故も増えています
亡くなった時間が深夜の場合、連絡してもいいのでしょうか
相手様に対してご迷惑ではないかと気兼ねしますよね。しかし危篤も含め、ご臨終の連絡は速やかにいたしましょう。
連絡される相手様は、故人にとりまして本当に近い存在の方達でしょうから、深夜の場合ひと言『夜分に大変申し訳ございません、、、、』お詫びの挨拶をしてから、内容の説明を致しましょう
言い忘れましたが、葬儀社への連絡は24時間365日いつでも大丈夫ですよ。
搬送
病院・施設でなくなった場合、ご自宅か葬儀施設への搬送が必要となります。
数時間以内での搬送を要請されますので、事前に決めた葬儀屋さんか病院等で提携している葬儀屋さんに搬送の依頼をお願いしましょう。
この段階では搬送の依頼のみの契約で、葬儀の依頼にはなりませんのでご注意ください。
自宅で亡くなり警察に依頼した場合、警察医務官の判断待ちになります、明らかな病死と分かれば死亡診断書が発行されます。
死因に疑問が残る場合は、警察に搬送され行政処置待ちとなります。
東京都では無料ですが地方では、医療機関との提携関係のため約5万円ほどの費用が掛り、それ以降の搬送は葬儀屋さんに依頼します。
病死⇒自宅⇒式場⇒火葬場に故人を移動する場合
必ず(国土交通省所管の運輸局)の許可を受けた寝台車・霊柩車が必要となります。
医療機関から余命の宣告を受けたら、慌てないで良いように、事前に搬送を依頼する業者の電話番号はメモっておきましょう。
24時間受付ております。お医者様から、ご臨終を宣告されましたら、直ちに連絡されれば、60~90分以内にお迎えに上がります。
寝台車・霊柩車の手配はこのページからお手配出来ます。詳細を事前に送信しておきますと、確実です。
このご依頼は、搬送の依頼でございます。
安置
搬送先が自宅か葬儀施設かで対応は違いますが、枕飾りの準備を行い焼香できる様にします。
ご自宅の場合、神棚があれば半紙で封印しましょう。仏壇の場合は、外扉をお締めします。
※神道の場合、死は不浄なものとして、忌み嫌うからであり、仏教は一家に複数の仏が居る事になりますので。
仏教の場合、お寝かしする向きは北向き・西向きが良いとされています。
ドライアイスは速やかに、故人のリンパ腺に充てるとよいでしょう。
通夜までの時間、弔問される方もおります。焼香できる準備は大切です。
仮通夜を行う場合もございます。
葬儀社との打合せ
ご依頼された葬儀社との打ち合わせをして頂きます。菩提寺があれば葬儀の日程を葬儀社と3者で決めましょう。
町のお寺さんは僧侶が少ないため、いつでも可能とはいきません。夜中でない限り、菩提寺様とは日程の打ち合わせが必要になります。
決める内容は以下のとおりです。
- 日程(友引の火葬はできません)
- ご会葬人数の予測(家族・親族・会社・町会)等
- 式場場所(名称・住所・電話番号・地図の確認も)
- 予算(葬儀費用・返礼品単価・料理内容)
- 施主・喪主の確認
- 用意/記入/確認 遺影(写真)・死亡診断書の記入・家紋・宗派・連絡範囲・訃報連絡手段・葬儀規模・供花清算方法)
死亡診断書 は必ず区・市・町・村の役場に届け火葬許可証の発行を受けて下さい。印鑑も必要になりますので、朱肉を必要とする印鑑を持参ください。
葬儀社が代行してくれることが多いようです。
納棺
柩に納める儀式です。ご自宅の場合、柩が搬入できないケースもございます。その場合式場での納棺となります。
柩は故人にとって旅立つための船であります。
旅支度の準備として、末期の水・湯灌・死に化粧・経帷子(仏衣)を施し、故人思い入れの品々も収めてあげましょう。
お柩に故人所縁の品を納めるとき、金属類などは納められません。また心臓にペースメーカーを有するときは、事前に葬儀社にお伝え願います。火葬炉の中で破裂するからです。
通夜
故人との別れを惜しみ夜通し思い出話をしながら、香を手向ける事です。近年は通夜式が参列者の中心になっています。
通夜式次第
受付は開式30分前に開始
※但し参列者の予想が多い場合には開始時刻を早めましょう。
- 受付開始
- 一同着席(遺族は席が指定されます)
- ご僧侶入堂
- 読経
- 遺族・親族・参列者の順で焼香
- ご僧侶退堂
- 通夜式終了
通夜について詳細な記事がございます
【 通夜の意味と意義/告別式の前日に行う故人をおもんばかって偲ぶ儀式 】
通夜振舞い・返礼品
ご焼香のお済になった、ご参列者の方々にお清め(供養)として、お食事とお飲み物でおもてなしを致します。
最近はアルコールを控える葬家も多いようです。お清めの済んだ方に、会葬礼状にお清め塩を付けご帰宅頂きます。お香典を頂いた方には品物も添えてお渡しいたします。
葬儀・告別式・出棺
本来葬儀とは葬儀告別式の事であり、故人と最後のお別れを惜しむ場であり、ご冥福をお祈りする儀式であります。
最近の傾向として遺族・近親者が中心となっており、参列人数も少なくなります。
これは現在お通夜がメインとなったためでしょう。
故人様に真心で奉呈したご供花を柩に納め、お見送りを致します。ご出棺はより多くの方の手を添えてお運びしてあげましょう。
告別式次第
※地域により告別式の朝、近親者により火葬所で荼毘に付してから、告別式を行う場合もあります。
- 受付開始
- 遺族・親族・参列者着席
- 僧侶入堂
- 読経・引導
- 遺族・親族・参列者の順で焼香
- (近年式中初七日法要を行うことも増えています)
- 僧侶退堂
- 出棺準備
- お花入れ
- 弔電披露
- 挨拶
- 出棺
葬儀告別式について詳細な記事がございます
【 告別式、本来の意味とは/葬儀と何が違うのか、解説します! 】
火葬
日本では大半が火葬を取り入れています。火葬時間は施設により異なりますが、概ね90分から120分前後です。
(首都圏では60分)火葬に際しては、役所で発行された火葬許可書が絶対に必要になります。許可証が無いと火葬はできません。
火葬が済むと、骨壺に2人で1つのお遺骨を骨上げして頂きます。ご収骨がお済になると、火葬所で埋葬許可書の発行がなされます。
ご収骨が済みますと、お持ち頂いて歩む順番は、遺骨・位牌・遺影となります。
精進落とし
都内では待ち時間が短い為、火葬が済んでから精進落としとなりますが、地方の火葬所では90~120分の時間の余裕がある為、火葬中に精進落としを行うところもございます。
時間帯に関しては葬儀屋さんに確認しましょう。
この席は、遺族が参列頂いた皆様に感謝のお礼を述べる場所でもあります。
またご友人代表の方に杯を捧げていただく場であります。
精進落としを以て、遺族は上座から下座へ移動します。
葬儀は、ご会葬頂いた皆さんに支えて頂き行うもので、個別にあいさつできなくとも、失礼にはならないとの慣習があります。
但し精進落としからは、遺族が参列者様に葬儀に対する力添えを感謝申し上げる場となりますので、お一人お一人に感謝の言葉を述べて参りましょう。
葬儀のあいさつは例文を使うケースが多くなっています。精進落としのあいさつで戸惑わないために、こちらの記事で例文を用意しました。参考にしてください。
【参考:葬儀の挨拶で戸惑わないための例文9つと挨拶のタイミング】
精進落としからは、1人1人に参列していただいた感謝の礼を忘れると、不調法者になります。
精進落とし後の流れ
ご自宅・後飾り
ご自宅にお遺骨・お位牌・遺影をお連れ頂きましたら、後飾り祭壇に安置を致します。
他にお飾りできるものは、故人が好きであつた物やお花類で、遺族がこれはと思う物はなんでも構いません。
この祭壇は、忌明けの四十九日まで使用します。葬儀に参列できなかった方などが弔問にお越しになった場合、このお遺骨を安置した祭壇にお参りいただきます。
初七日法要
初七日法要は亡くなった日を含め、7日目に行う法要であります。
最近はこの法要を葬儀告別式終了後続けて行う場合や、ご収骨終了後、遺骨迎えの法要と併せ、繰り上げ初七日として執り行う事が増えてきました。
【法要の日程の確認】
- 初七日
- 二七日⇒三七日⇒四七日⇒五七日⇒六七日
- 七七日(四十九日)満中陰<忌明け>
- 百ケ日(100日目 )卒哭忌<大声をあげて泣く事を終へる>
- 一周忌(逝去の日より1年目)小祥忌
- 三回忌(逝去の日より2年目)大祥忌
四十九日法要(七七日法要・忌明け法要)
死者はあの世で七日ごとに7回、生前の罪状を裁く審判があるとされています。
そのため、本来は四十九日まで7日ごとに法要を行いますが、近年は省略されることが多くなりました。
あの世でのすべての審判が終わった故人の魂は、ようやく成仏します。そこで「忌明け」の法要を行います。
四十九日法要は葬儀後、最初の法要といえるでしょう。
埋葬などを終え、参列者にその報告を済ませ、香典の返礼を行い、遺族は今までの日常生活に戻ります。
近年葬儀は初七日法要を含めた、精進落としまでの法要を葬儀式と一般的に呼ばれています。
一連の流れとして、納骨式(四十九日)までが欠かせない法要と認識されています。
仏教では四十九日法要までに本位牌をご用意いただきます。
この法要で本位牌(漆塗り・黒檀など)への魂入れを行います。また新規でお仏壇をご用意された場合、仏壇への魂入れも同時に行いましょう。
神道の通夜
通夜祭・遷霊祭
通夜祭では、神官による降神・修祓・献饌や祭詞・誄歌奏上などが行われます。引き続き遷霊祭を行います。「御霊遷」ともいい、故人の魂を遺体から霊璽(仏式での位牌にあたるものです)に遷す儀式です。
式場の明かりをすべて消し、神官は遷霊の詞を唱えながら、霊璽を柩の上にかざします。これで故人の魂が霊璽に遷ったことになります。
その後、神官にはじまり、喪主や親族、参列者によって玉串が捧げられます玉串奉奠。(これは仏式における焼香にあたるものです。)席次の決め方や玉串奉奠を行う順番などについては、仏式の場合と同じです。神官によって祭壇の飾り方が異なります。
神道の場合、祭壇にはお米・塩・根菜類などをお祀りします。
キリスト教
キリスト教にも宗派としてカトリック、プロテスタント、ロシア正教などがあり、細かく分けると大変な数になります。
ここでは日本に割と信者の多いカトリックとプロテスタントを取り上げていきます。
キリスト教の葬儀も日本化してきており、本来通夜の風習は無いのですが、両派とも通夜に準ずる形式を取り入れています。
キリスト教は死に対する考え方が仏教や神道とは違い、永遠の命の始まりだとされ、甦り信仰が信じられています。
そのため、お悔やみの言葉は不要で、亡くなったことは悲しいですが、不幸なことではないという意識があります。
「安らかな眠りをお祈りいたします」のように、故人の安寧を祈る形が一般的です。
キリスト教ではお自宅にお戻りになりお寝かせする場合、故人を東・西・南・北どちら向きにでも定めはありません。方向よりも安らかにして頂ける場所を選ぶことが大切です。
カトリックの通夜
神父と遺族により納棺を行い、棺を安置した祭壇に遺影・十字架・キャンドル・聖水・生花等を飾り、聖歌斉唱・神父による聖書朗読・説教が行われ祈り献花で閉式となります。
- 開祭
- 言葉の典礼(聖書朗読・神父説教のあと故人の為祈る)
- 感謝の典礼(遺族がパンとブドウ酒捧げます)
- 赦禱式 (柩に聖水注ぎ香を献じ、永遠の安息を祈る)
- 告別式 (遺族により聖歌・故人の紹介・弔辞・弔電の奉読・献花)
- 遺族あいさつ
- 閉祭
- お別れ
- 出棺
プロテスタントの通夜
通夜にあたるものが、前夜式と呼ばれ、納棺式を兼ねることもあります。
棺を安置し参列者と讃美歌を斉唱します。続いて牧師に聖書・説教・祈りを行い再び讃美歌斉唱し献花を行い閉式となります。
- 開会の辞
- 讃美歌斉唱
- 聖書朗読讃美歌斉唱
- 追悼説教
- 讃美歌斉唱
- 祝祷
- 遺族挨拶
- 告別式
- 閉会の辞
- お別れ
- 出棺