葬儀式場で最初に弔問者の対応をするのは受付係です。受付は町会の方やお勤め先の会社関係の人達がお願いされることが多いでしょう。受付をされる方は、ご遺族の大切な代理の意識をお持ち頂き、弔問者にスムーズに会葬をして頂けるような心構えで臨んでください。
ご遺族は葬儀開式中は席を立たず、故人の冥福を祈ることに専念できるようにしてあげたいものです。受付係の腕にかかっていますよ。
葬儀受付担当の流れに伴う役割
あなたが葬儀の受付をお願いされた理由があるはずです。故人にとっては生涯一度の葬儀式であり、受付は葬儀の顔です。
あなたは『任せられる人』として葬家から受付をお願いされていることでしょう。真心を込め遺族の立場で受付をお願いします。
葬儀での受付は、約3時間の長丁場の仕事になりますが、その時間の流れに伴い、受付として注視しなければならない要件がございます。
どのような要件にも順次、遺族の代理として立ち振舞いましょう。
葬儀の受付に遺族や親族はいません。理由は、葬儀の受付者は式が始まった後も香典の受付など対応することがあり、親族が担当すると葬儀に出席できなくなるからです。
しかし、最近では家族葬で葬儀を行うケースも多くなってきているため、直系親族のみのお葬式もあり、新族以外の方でなければならない風習は薄れたように感じます。
遺族の方へ:受付をお願いした人への配慮を忘れずに
ご葬家が受付をお願いする方は常日頃、お付き合いをされている方たちが多いのではないでしょうか。
受付は遺族に代わり弔問者に接し気配りをして頂く方たちなのです。
最大限敬意を払ってお願いしましょう。
葬儀の受付を承諾された方は、ご遺族に好意をお持ちであると思います。その好意に甘えず感謝の気持ちを持つことが大切です。
そうした気持ちを言葉と共に、志(お金)・品物など形でお礼をすることも必要でしょう。
受付を通夜だけお受けする場合も、通夜告別の両日お受けいただく場合もございます。
通夜は早めに仕事を済ませ駆け付ける方もいらっしゃいます。
告別は日中行う式ですのでパ-ト・仕事を休まれて来られる方もおりますので、感謝の気持ちを持つことが大切です。
葬儀の受付を引受けたら知っておきたいこと
お葬式に参列する機会はあっても、受付をする立場になることは、町会の役員でない限り数えるほどです。
受付をする際のマナーについて、ほとんどの人が詳しくは知らないのではないでしょうか?
お葬式の受付は、親族のお葬式だけでなく、知人や会社のお葬式で頼まれることもあります。
突然受付を頼まれたとき困ることのないよう、お葬式における受付の役割と、受付を行う時のマナーについて紹介します。
葬儀の受付に推奨される服装
葬儀で受付を頼まれたらそれ相応の服装を心がける必要があります。特に難しいことはありませんが、受付をする際は参列する人と同じブラックフォーマルの服装で問題ありません。
男性の場合
上下とも黒のスーツでワイシャツは白が一般的です。ネクタイや靴下、靴も黒が基本です。
靴はエナメルや装飾の付いたものは避けます。髪型も慎みある形が最適です
女性の場合
ワンピースやスーツは黒を基調に着用し、露出がないものが好ましいです。
ストッキングは肌色か黒色。靴やバッグも黒で統一されるとよいでしょう。
靴もヒールの高いものは避け無難なものが良いです。化粧は濃からず・ノーメイクでなく、薄化粧が最善です。
髪型なども慎みをもった立姿勢が最も好感を持たれますし、行動も速やかになります
葬儀受付の事前準備
受付を担当される方は、葬儀の開式1時間前までには到着しておくと心にゆとりを持てます。
会場へ到着したら、喪主様をはじめご葬家の方たちへの挨拶を済ませ、祭壇に安置された故人に拝謁しましょう。
祭壇前のお経机・焼香所に香炉が用意されていますが、お焼香をしてはいけません。
お焼香は正式なものですので開式が始まってから、僧侶から始めます。開式前の焼香は略式とされるお線香で行います。
式場及び駐車場など施設の確認
葬家への挨拶が済んだら、受付を担当する方どうし連携を取り合い、役割分担を決めておくと仕事はスムーズです。
正面受付か香典記帳や計算係などがあります。この時、疑問点があれば葬儀屋さんに確認しておくと良いです。
疑問が生じたとき質問できるのは葬儀屋さんだけです。
また備品の要請も必要になることがございます。
ご親族の人数と会葬者のおおよその人数は把握しておきましょう。また御会葬者を関係者毎に受付で分けるのか否か。記帳所の場所と受付場所を確認します。
『会社関係』『学校関係』『町会関係』『〇〇関係』など弔問が多い関係の組織があるときなど、ご会葬帳に分類された名簿が自然に作成される具合です。
ご遺族が葬儀終了後、参列者などの確認がし易くする為でもあり式場内にご案内する際や顔見知りの方々が会いやすいようにする為でもあります。
施設内の配置を確認しておく必要もあります。『式場の出入り口・遺族控室・僧侶控室・精進落としの場所・返礼品を渡す場所・駐車場と駐車可能台数・満車のときの最寄のパーキング場所・待合室・エレベーターホール・トイレ・喫煙所』など受付をされますと、どの様な質問が投げかけられるか分かりません。
対応できると出来ないとでは大きな差が生じます。
葬儀受付のお仕事
ご葬儀がいよいよ開式です。参列者が続々と受付へ来られます。ご親族様には『この度は突然のことで誠にお愁傷さまでした』と挨拶をします。
参列者には、当日の状況により(お寒い中)(お暑い中)(足元のお悪い中)(遠路はるばるご弔問頂き)(お忙しいなか)など冠言葉を添えると丁寧ですね。
『本日はお寒い中ご弔問頂きまして誠に有難うございます』など、ただし元気な大声での挨拶は厳禁です。
受付での挨拶に決まり言葉はありません。しかし気を付けなければならない言葉として、(いよいよ・次々・重ね重ね・度々・続く)などの忌み言葉は控えましょう。
会葬帳(芳名帳)への記入
会葬帳は弔問頂いた人の記録帳です。通夜・告別両日来られた方にも両日記帳をお願いしましょう。
最近は受付の渋滞を防ぐためカード式で名刺を挟める(名刺を添えれば記入の必要がなくなります)記入帳が主流の様です。
会葬者の中には数名のお香典を預かってきた方もいますので、お手数をお掛けしますが全員分の記帳をお願いしてください。
詳細が分からないときは、電話番号を記載してもらいます。
お香典の受け取り方
高齢の方に多いですが、お香典には達筆すぎて字が判読できないこともあります。失礼のないようにお尋ねしてフリガナを記載します。
また苗字だけの方にはフルネームをお聞きしてメモなどを挟んでおきます。香典受け用に黒盆を用意いたしましょう。
いただいた香典は両手で受け取り、「お預かり致します」などの言葉を添えてお礼を述べます。
頂いたお香典は直ちに後方記帳所に渡しご芳名と金額を記帳してもらいます。
急いで来られた方で、お金を入れ忘れる方もたまにいらっしゃいます。万が一の場合、確認しましたらそっとお声をお掛けしその旨をお知らせしましょう。
この行為は決して失礼にはあたりません。
会葬帳に記帳して頂いたお名前と香典袋を確認し、間違いが起きないように香典袋に番号を書き添えましょう。
お香典を頂戴しましたら引換券をお渡しいたします。香典を預かって来ている方もおります、引換券は香典の数だけ渡しましょう。連名でのお香典は連名分の会葬礼状をお渡しして、引換券は1枚お渡しします。連名の場合個々の金額が少額であったり、返礼品での負担を和らげたいとの思いがあると推察してよいでしょう。
お香典を頂いたその場所で返礼品をお渡しすることはお勧めできません。焼香やお清めのときに邪魔になり忘れものになることが多いからです。お清めが済み帰路に戻るときにお渡しいたしましょう。引換所などの立て札を立てると親切ですね。
記帳のお済になった弔問者にはお焼香にお進みいただきます。式場の配置にもよりますが順路などご案内しましょう。中には焼香の仕方など尋ねられる方もおりますので、基本的な作法をご案内しましょう。
葬儀の受付:その他の対応
受付をされますと、弔電や供花が届くこともあり、これらが届いたら供花の送り状を預かり、弔電の場合宛先に間違いがないか確認をしておくと親切です。
また、葬儀の受付は窓口に当たりますので会葬者から思いもよらない質問をされることもあります。
わからないことについては葬儀社に確認する、葬家に確認するなど事前の取り決めも大切になってきます。
受付業務が一通り終了しましたら、受付場所の整理と香典の記入漏れのチェックを行い、事前に取り決めた遺族の方に香典をお渡しします。
事故防止のため、受け取った香典は誰に渡せばよいか、親族を含めた人できちんと確認しておくことが大切です。
葬儀の受付については葬儀社でもやり方を教えてくれます。式が始まる前なら業者が式場をウロウロしていますので、わからないことは事前に確認しておきましょう。
葬儀の受付まとめ
葬儀式典の受付は非常に気を遣い、時間に追われるものです。ご遺族の代行として弔問客をお迎えする立場であります。
通夜・告別式の受付は気配りと気遣いを要求される大変重要なことをご理解いただけましたでしょうか。
喪主やご遺族の思いを代行し、参列者へ最初にご挨拶をする立場であることを心得ておきましょう。
弔問に来た方々は故人を偲び、最期のお別れにお越し下さった人達です。そう感じるとおのずと感謝の気持が湧き姿勢や言葉遣いはも丁寧なものになってきますよね。
参列者にとっても、受付係の態度・姿勢で葬儀の印象も大きく左右します。
そうした場所にいることを自覚しておくも大切です。全ての葬儀が終わり、遺族からあなたに頼んで本当に良かったと感謝される内容の作業でありたいですね。